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無料記事 二十四節気

白露(はくろ)

白露(はくろ):9月8日頃

 

白露(しらつゆ)の意味で、秋の気配が次第に色濃くなります。
昼と夜の寒暖差が少しずつ大きくなり、
夜のうちに大気が冷え込んで草花などに白い露が付きます。

また、夕方には秋の虫が美しく鳴き響き秋の趣を感じさせます。
秋の深まりとともに哀愁を覚えるこの時候には、昔から日本人の心を惹きつける魅力があります。

与謝蕪村の「白露や 茨(いばら)の刺(はり)に ひとつづつ」のように、
松尾芭蕉や正岡子規などの俳人も白露をテーマにした俳句をたくさん残しています。

⑴草露白(くさのつゆしろし)

9月8日~12日頃
草や花の上に降りてきた朝露が白く光って見える頃です。

早朝に野や山を散策してみると、辺りの草木には露が付き、
それらは朝日に照らされるとキラキラと宝石のように輝きます。

この頃は朝晩と昼の寒暖差が大きく、
夜の空気が冷やされることで朝に露ができます。

この時期ならではの朝の風景を楽しんでみるのもおすすめです。

⑵鶺鴒鳴(せきれいなく)

9月13日~17日頃
セキレイが泣き始める季節です。

セキレイはまるで人に道案内をするかのように、
道端をちょんちょんと可愛らしく歩きます。

モノトーンの配色と長い尾が可愛らしいセキレイは、
羽色によって種類が別れています。

背が黒いものが「セグロセキレイ」、
白いものが「ハクセキレイ」、
黄色いものが「キセキレイ」です。主に水辺で見られます。

⑶玄鳥去(げんちょうさる)

9月18日~22日頃
春の到来とともに南方から日本列島へとやってきて、
子育てを終えたツバメが、また海を渡って南の国へと帰っていく頃です。

子ツバメが独り立ちをして空っぽになった巣をみては少し寂しい気持ちになります。
しかしツバメがいなくなった空を見上げると、今度は赤とんぼが元気よく飛び始めます。

 

この季節の食べ物

舞茸

秋から冬にかけて旬を迎えます。
あまりの美味しさから、見つけた人が舞を踊ったことから舞茸と名付けられたそうです。

長年、幻のキノコと言われていましたが、
1970年頃に人工栽培に成功してからは入手しやすくなりました。

旨味と香りが強いので、炒め物やスープ、天ぷらなど様々なお料理に使えます。
舞茸にはビタミンDと食物繊維がたくさん含まれています。

松茸

日本のキノコの最高峰で秋の風物詩です。
しめじや椎茸のように人工栽培するのが難しいため、
自然発生した物を採取し出荷されています。

そのため非常に高価なキノコとなっています。
松茸の特有の芳醇な香りは主にマツタケオールと呼ばれるもので、
現在は人工的にも作られ「マツタケエッセンス」として販売されています。

土瓶蒸しや松茸ご飯などで食されます。

しめじ

一年中スーパーで見られる食材ですが、秋から冬が旬です。
和食にも洋食にも合い
、食物繊維やビタミンD・B2が豊富に含まれており栄養価も高いです。

肉質が硬く歯ごたえがあるので追加するだけでボリュームUPも期待できます。

秋刀魚(サンマ)

秋の味覚の代表的な鮮魚といえば秋刀魚です。
秋に獲れる銀色に光る刀のような魚だというところから
「秋刀魚」という漢字表記が一般的になりました。

脂が一番乗っているのは9月〜10月末までで、
旬が終わりに近づくとともに脂ののりも少なくなってきます。

アワビ

8月から10月が旬の、高級食材とされる貝の一種です。
日本で食用にされているアワビの主なものは、
クロアワビ・エゾアワビ・マダカアワビ・メガイアワビの4種類です。

中国では秦の始皇帝が、また日本では織田信長や卑弥呼が食べていたと言われています。

 

この季節の草花

ツリガネニンジン

キキョウ科の多年草です。
北海道から本州、四国や琉球諸島まで広く分布します。

8月から10月にかけて開花し、花柄の先で下向きに咲く花が釣鐘型をしており、
漢方薬の朝鮮人参の太い根に似ていることからこの名前がつきました。

夏の終わりに根を掘り取り、日干ししたものが生薬として使われます。

去痰・鎮咳の効果があり、その他うがい薬としても使われています。

ジンジャーリリー

ショウガ科の多年草の花です。
別名をヘディキウムとも言い、
東南アジアを中心に70〜80種の分布があります。

8月〜10月頃に白・橙・桃色の花が咲き、クチナシに似た甘い香りがします。

センニチコウ

紫やピンク、白、赤に色づく苞が楽しめる植物です。
耐暑性に強く、長期間咲き続けることから初心者にも育てやすい花です。

センニチコウは夏から秋までの長い間、
花の色が褪せることなく「千日花が咲く」ということにちなんで名付けられました。

切り花として仏花として飾られることも多く、
またドライフラワーにしてもセンニチコウの可愛い色を長く楽しめます。

 

この季節の生き物

ツユムシ

バッタ目キリギリス科、体長約15〜20mmの昆虫です。
露を飲んで命を繋ぐような弱々しい見た目が名前の由来とされています。

夜間に「ツ、ツ、ツ」「ジィー、ジィー」と鳴くこともありますが
とても小さな声なのであまり目立ちません。

イナゴ

体長20〜40mmバッタの仲間の昆虫で、
稲を食べてしまう害虫としても有名です。

長野県・群馬県・山形県・宮城県などの山間部では、
イナゴの佃煮が郷土料理として受け継がれています。

イナゴはタンパク質やカルシウムを豊富に含んでいるため、
栄養補給源としても用いられているそうです。

セキレイ

全長20cmほどの大きさで、
「チチィ、チチィ」と小さい声で鳴きます。
街中や川のほとりでよく見られます。

歩くときに、黒くて長い尾を上下に振りながら
地面を叩くようにする仕草は石叩きと呼ばれます。

日本書紀にも登場しており、古来より親しまれていたことがわかります。

 

この季節の行事やオススメ

御山洗い

旧暦の7月26日
登山シーズンで賑わった後、
富士山の閉山日に当たる旧暦の7月26日頃に降る雨を「御山洗い」と呼びます。

夏の登山で登った人々の汚れを洗い清めると考えられてきました。

重陽の節句

9月9日
昔から、一番大きな陽数である「9」が2つ重なるのは
大変めでたい日だと考えられていました。

また重陽の節句は、
桃の節句(3月3日)・端午の節句(5月5日)・笹の節句(7月7日)よりも
盛大に祝われてきました。
また長寿を願う節句でもあり、別名菊の節句とも言います。

中国の故事『菊慈童(きくじどう)』では
仙人が菊の下露を飲むことにより数百年の命を得たという話があります。

菊は長寿の霊力を持った花として古来より大切にされてきました。
現代でも邪気を払うために菊の花を飾ります。

形が美しい菊の最中を食べたり、
デカンターに日本酒と食用菊の花びらを入れて数時間置き、
菊種を作って楽しむのもオススメです。

敬老の日

9月の第3月曜日
お年寄りを敬い、大切にするという国民の祝日です。
1947年に兵庫県の多可郡野間谷村(現在の多可町)の村長が提唱した
「としよりの日」が起源とされています。

お年寄りを大切にし、お年寄りの知恵を生かした町づくりをしようと
9月15日に敬老会を開いたのが始まりとされています。

おじいちゃんやおばあちゃん、
両親など大切な人にプレゼントをして「ありがとう」の気持ちを伝えてみましょう。

十五夜

旧暦の8月15日(9月7日〜10月8日の間の満月の日)
十五夜の月見の習わしは、唐の時代に中国から伝わった催事と、
古来から日本にあった月を祀る慣習が合わさったものだと言われています。

平安時代には貴族たちが船遊びをして、水面に映る月を楽しみ、
江戸時代に入ってから月を愛でるイベントとして町民にも伝わりました。

月から見て左側が上座にあたるため、
里芋などの収穫物を備え、右側に月見団子を供えます。

薄の穂は稲穂に見立てたもので、秋の豊作を祈るためにお供えをします。

 

written by はれる88

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