立秋(りっしゅう)

立秋(りっしゅう):8月7日頃
暦では秋となるが、まだまだ暑い日が続きます。
残暑が続きますが、涼風が吹き始め、季節は確実に秋へと向かいます。
季節の挨拶も「残暑見舞い」に切り替わります。
この時期にお盆の行事を行う地域が多いです。
お盆にはご先祖様が迷わずに帰ってこられるように、迎え火を炊き、
最終日には送り火を炊いてお見送りする「精霊送り」などを行います。
⑴涼風至(りょうふういたる)
8月7日~12日頃
秋の涼しい風が吹き始める時季です。
日中は厳しい暑さが続きますが、朝晩にふと涼しい風が吹き秋の始まりを感じられます。
風には季節によって様々な名前が付けられております。
「涼風」は夏の季語ですが、秋の風は「新涼」「初涼」「金風」「白風」と呼びます。
⑵寒蝉鳴(かんせんなく)
8月13日~17日頃
寒蝉とはヒグラシを指します。
夏の終わりになるとどこからともなく「カナカナカカナ…」という鳴き声が聞こえてきます。
早朝や夕暮れ、気温が低い日の日中に鳴くことは多いですが明るい昼間には鳴きません。
ヒグラシという名前は、「日暮れ」に鳴くことに由来していると言われています。
ヒグラシの鳴き声が聴こえてくると、去り行く夏を惜しむような哀愁が漂います。
⑶蒙霧升降(もうむしょうごう)
8月8日~22日頃
日中の残暑はまだまだ続きますが、
早朝の山野や水辺ではひんやりと冷たい空気が漂い、
どこからともなく白い霧があたり一面を包み込みます。
「蒙霧」とは、もうもうと立ち込める深い霧を表します。
霧は湖や盆地で特に発生しやすく、北海道の摩周湖や釧路、
軽井沢などは霧が多いことでよく知られています。
この季節の食べ物
カボス
テニスボールほどの大きさをした濃い緑色をしたミカン科の果実です。
焼き魚や土瓶牛などの料理に添えると、爽やかな酸味を与えます。
江戸時代は各地で栽培されていましたが、現在はほとんどが大分産です。
江戸時代に蚊をいぶす(追いやる)ため、刻んだカボスの皮が使われてたそうで
「蚊いぶし」が徐々に「かぼす」と呼ばれるようになりました。
スズキ
食材としてはもちろん、引きが強いことからルアー釣りによる釣りが人気です。
別名「シーバス」とも言い、
20cmほどの大きさなら「セイゴ」
30cmほどのものは「フッコ」
60cmを超えるものは「スズキ」と称されます。
和紙で包んで蒸し焼きにする「鱸の棒書焼き」は島根県松江市の名物です。
桃
8月8日〜10日にかけてよく食べられるとされている果物です。
白桃「ハクトウ」の語呂合わせが由来になっていることから、
白桃を食べる地域も多いです。
中国では3000年もの昔から栽培がされており、日本では岡山県の桃が起源とされています。
選ぶときにはふっくら丸みがあり、全体にうぶ毛があるものが良いとされます。
こち
古くから愛されてきた白身の高級魚です。
細長く、平べったい体をしており体長は1メートル前後になります。
おが牛のものと似ていることから漢字では「牛尾魚」と書くこともあります。
刺身や煮付け、フライやムニエルなどにすると美味しくいただけます。
無花果(イチジク)
花がみに包まれて見えないことから、花が無い果実だと思われていました。
そのためこの漢字がついたとされています。
6千年も前から栽培されていたと言われ、
旧約聖書に登場するアダムとイヴはイチジクの葉の腰ミノをつけていたと記されています。
イチジクは食用以外にもジャムやシロップ漬けなどでも食されます。
冬瓜(トウガン)
96%が水分のローカロリーな野菜です。
冷暗所で保存しておけば冬までもつことから「冬瓜」と
記すようになったと言われています。
肌の健康維持に役立つビタミンcを含みます。
またカリウムも多く含まれているため、利尿作用によって体のむくみを取る効果があります。
緑色が鮮やかで、皮に張りがあり、果肉が白くしまっているものを選ぶのがおすすめです。
この季節の草花
みずひき
東アジアを原産とするダテ科の多年草です。
上から見ると赤く、下から見ると白い花が、細長い花穂に転々といくつも咲いています。
その様子が祝儀の水引に見られて花の名前になったと言われています。
晩夏から晩秋にかけて長く咲きます。
睡蓮(スイレン)
多年草の水草で、水中に地下茎または塊茎をもっています。
温帯性の花は昼咲きのみで水面に浮きます。
陽射しが弱まると早々に花を閉じ、
その様子がまるで眠っているかのようにゆったりとして見えることから「睡蓮」と呼ばれるようになりました。
熱帯性と温帯性の2つの系統があり、温暖湿潤気候の日本では熱帯性は温室で生育します。
ひまわり
北アメリカ原産の一年草で茎からまっすぐに伸びる太陽のような大輪の花を咲かせます。
現在は品種改良によって草丈10cm程のプランターで育てられるものや、
八重咲きなどの品種もありバラエティーに富んでいます。
夏の花として観賞用に親しまれることが多いですが、趣旨は脂や食用、葉と茎は肥料に使われることがあります。
この季節の生き物
オンブバッタ
約4cmほどのメスの背中に2cm程の小さなオスが乗っていて、
おんぶしている様子に見えることが舐めの由来。
普通のバッタに比べて動きが遅く、簡単に捕まえることができます。
カササギ
佐賀県の県鳥で国の天然記念物に指定されています。
長い尾と甲高い鳴き声が特徴的で、木の上や電柱などに巣を作ります。
「サギ」と名前につきますが実際はカラスの仲間で、
「カチカチ」と鳴くことから佐賀県では「カチガラス」とも呼ばれ、
県民から愛されています。
ヒグラシ
朝夕に鳴く声が涼を感じさせるヒグラシ。
夏の終わりに、秋の訪れを知らせてくれます。
俳句では秋の季語ですが実際には6月の終わりくらいから9月まで出会うことができます。
この季節の行事やオススメ
お盆
8月13日から
ご先祖様が自宅へと帰ってくるお盆の初日、8月13日に盆入りします。
ご先祖様だけでなく、現世に生きる人たちも帰省ラッシュが始まります。
お盆の間に灯しておく提灯屋行灯は自宅を示す目印となります。
阿波踊り
8月12日〜15日頃
徳島県の阿波踊りの歴史は400年以上続いています。
岐阜県:群青踊り、秋田県:西馬音内盆踊りに並ぶ日本三大盆踊りの一つで
「踊る阿呆に見る阿呆」の唄い文句が有名です。
蓮と呼ばれるグループ単位で「よしこの」の二拍子に合わせて踊ります。
踊り手は県内のみならず、日本中から集結します。
灯龍・精霊(しょうろう)流し
8月15日頃
北海道の鴨々川灯龍流し、
栃木の真岡灯ろう流しなど各地で行われますが、
長崎県長崎市の精霊流しは大きな精霊船を作り、
賑やかに個人の魂を送り出すことで有名です。
諏訪湖花火大会
8月15日
長野県諏訪市で行われる花火大会。
打ち上げ数、規模とも全国屈指の花火大会で毎年50万人程度が訪れます。
4万発もの花火が夜空に打ち上げられ、
同時に湖面にも映ります。四方の山々にもこだまする迫力ある音も魅力の一つ。
昭和24年に第一回が行われ、戦後の混乱の中で、
希望を持って1日も早く立ち直れるように、という願いから始まりました。
京都五山送り火
8月16日
京都の大文字焼き、五山送り火は、お盆に訪れた先祖の霊を送る灯火として灯されます。
東山に「大」の字が浮かび上がり、続いて松ケ崎に「妙」「法」、
西賀茂に船形、大北山に左大文字、そして、嵯峨に鳥居形が点ります。
これら5つの送り火はすべて京都市登録無形民俗文化財です。
written by はれる88