清明(せいめい)

清明(せいめい):4月5日頃
「清浄明潔」「万事ここに至りて皆潔斎にして晴明なり」というように、
全てのものがキラキラと清らかで生き生きしている、という言葉の略称とされています。
空気は清々しく、若葉の鮮やかな新緑は太陽の光でより一層美しく、
心がウキウキと明るく笑顔も溢れるような季節です。
⑴玄鳥至(げんちょういたる)
4月5日~9日頃
「玄鳥」とはツバメを意味します。海を渡って夏の鳥であるツバメが飛んできたら、
本格的に農耕が始まる合図です。
ツバメは穀物の害虫を食べてくれる益鳥として農村部の人に大切にされていました。
⑵鴻雁北(こうがんきたす)
4月10日~14日頃
ツバメと入れ替わるようにして日本を去っていくのが冬鳥の「鴻雁(雁)」です。
雁は約四千キロを渡ってシベリアやアラスカ、アメリカ北部へ行き、そこで春から夏の間に繁殖します。
秋になると新しい仲間を連れてまた日本へと帰ってきます。
千年以上も前の「枕草子」でも雁が連なって飛ぶ姿が賞賛されており、
古い時代から日本と北国を行ったり来たりしていたことがわかります。
⑶虹始見(にじはじめてあらわる)
4月15日~19日頃
春の雷はこの頃には鳴り潜め、徐々に大気に潤いが満ち、高い空に虹が浮かぶことが多くなります。
日が照っているのに小雨が降るなど、変わりやすい天気の時に見つかりやすいです。
虹は国や時代により色数が異なります。
日本では現在は赤・橙・黄・緑・水色・青・紫の7色とされていますが、
江戸時代では赤・枇杷色・青黄の3色とされていました。
アメリカでは6色、ロシアでは5色とされています。
この季節の食べ物
カツオ
旬は初鰹の春と、戻り鰹の秋、年に二回あります。
春から初夏にかけて、南の海から日本付近の太平洋を黒潮にのって
北上する鰹を「初鰹」「上り鰹」と言います。
江戸っ子の鉱物として知られていますが、
江戸時代には駿河湾や相模湾あたりの沖合で獲れて重宝されたそうです。
初鰹はあっさりとした上品な味です。縄文時代は固く干したものが貴重な調味料でした。
桜エビ
桜が咲く頃に旬を迎えます。
体にはやく160個の発光器があり、キラキラと桜色に輝く姿から「海の宝石」とも呼ばれています。
静岡県由比が日本一の水揚げを誇ります。
生桜エビを食べられるのはこの時期だけです。
桜エビが天日干しされている風景は、まるで満開の桜並木のようです。
よもぎ
春の野草の一つで、公園や土手などに自生しています。
羽ノ浦に白い毛が密生しており、菊の葉の形に似ています。
春を感じさせるような爽やかな香りがあり、草餅や天ぷら、干してお茶にしても美味しくいただけます。
また、葉の裏の白い毛はお灸の材料である「艾(もぐさ)」にも使われています。
サザエ
つぼ焼きや刺身で食べるのが美味しいです。
旬は3月〜7月で、荒波に揉まれて育つと流されないように殻の表面が凸凹していたり、
角が尖った形になります。
また、穏やかな内海で育つと突起がほとんどないサザエになります。
大小で味の違いはなく、用途によって大きさを使い分けます。
この季節の草花
モクレン
花は閉じたような状態で上向きに咲き、何回になると白い鳥たちが木に止まっているように見えます。
平安時代中期に編纂された書物にも記載されており、古い時代に中国からトライしました。
元々は観賞用ではなく、漢方で「辛夷(しんい)」と呼ばれる蕾を、
頭痛や鼻炎の薬とするために植えられてたそうです。
ふっくらと大きな咲き姿と芳香で春を告げるので、庭木としても人気が高いです。
シャガ
4月〜5月に花を咲かせるアヤメ科の多年草です。
白っぽい泡紫色の花に黄色や紫の模様が入っています。
川沿いの林や人家の近くの日陰など、湿ったところに咲きます。
長い地下茎を伸ばし、その先に芽を作って増えるので大きな群落を作るのが普通です。
レンゲ
マメ科の越年草で、4月から5月にかけて赤紫色の花が咲きます。
ハスの花に似ている頃から「蓮華草(れんげそう)」とも呼ばれます。
昔は稲刈りが終わった後の畑にレンゲの種をまき、一面にレンゲの花を咲かせていました。
レンゲは他のマメ科の植物と同様に、根に根粒菌を寄生させており、
根粒菌があることで窒素を固定させる効果があり土が肥沃になります。
また咲き終わったレンゲをそのまま土壌に漉き込むとさらに土壌が豊かになります。
見た目の可愛さだけでなく、穀物を育てる上でも役に立ちました。
コナラ
雑木林の代表的な落葉広葉樹です。
4月〜5月頃に開花し、枝は薪や木炭となって人々の暮らしを支えてきました。
春に若葉が萌え、花を咲かせ、秋にはどんぐりを実らせます。
地に落ちたどんぐりからも芽生えていきます。
この季節の生き物
ツバメ
冬を東南アジアで過ごすツバメは、数千キロを超えて日本へと渡ってきます。
人家の軒下などを好んで巣を作り、ツバメが巣を作った家には幸運が訪れる・商売繁盛とされてきました。
親鳥が巣に帰っては雛に餌をあげ、瞬く間に飛び去ります。
ツバメは「玄鳥」「乙鳥(つばくら)」「天女(つばくらめ)」など、様々な名前で呼ばれてきました。
この季節の行事やオススメ
都をどり
4月1日〜30日
京都には「祇園甲部」「宮川町」「先斗町」「上七軒」「祇園東」の五花街があり、
そのうち祇園東以外の四花街が春に舞踊公演を行います。
中でも祇園甲部の「都をどり」は130年以上の歴史をもつ伝統的な行事です。
京舞井上流家元が指導する京舞を思う存分鑑賞できます。
灌仏会(かんぶつえ)
4月8日
毎年寺院にて仏教の始祖であるお釈迦様の生誕をお祝いする日です。
参拝者は、花御堂(花で飾った小さなお堂)に
安置した釈迦像の頭上から柄杓で甘茶や五色の香水を注ぎ、無病息災を祈ります。
参拝者には甘茶が振る舞われます。甘茶は飲むと丈夫に、
目につけると目が良くなると言われており、参拝して家に持ち帰る参拝者も多く見られます。
この行事は仏生会・降誕会・浴仏会・龍華会・花会式・花まつりなど多くの名称で呼ばれます。
高山祭
4月14日・15日
日本三大美祭の一つ、岐阜県の高山市にある日枝神社の例祭です。
数百人の列ととも人出される屋台は圧巻です。
飛騨の匠の技を伝える豪華な12台の屋台は国の重要有形民俗文化財に指定されたされています。
またこの屋台行事はユネスコ無形文化遺産に登録されています。
からくり人形の精巧な動きが魅力的な「からくり奉納」や提灯を灯した屋台が幻想的な「夜祭」も見所です。
イースター
十字架に架けられたキリストが3日目に甦ったことを
祝うキリスト教のお祭りで復活祭とも言われます。
「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」が祝祭の日とされており、
毎日日にちが変わります。
イースターの名前の由来は、ゲルマンの神話に登場する春の女神「エオストレ(Eostre)」。
祭りではゆで卵の殻を色付けたり、飾り付けをしたイースター・エッグを作って祝います。
ヨーロッパではクリスマスと同じくらい大切にされ、
家族や親しい友達と一緒にご馳走を楽しみながらお祝いします。
十三詣り
4月13日
主に関西で行われる習わしです。
旧暦の3月13日に行われる行事で、現在は4月13日を中日とした前後1ヶ月に行われます。
数え年で13歳になる男女が知恵や福徳を授かるように虚空蔵菩薩にお参りします。
13歳というのは初めての厄年であり、昔は13歳で成人を迎えていたため大変重要な年齢です。
虚空蔵菩薩のある京都嵐山・法輪寺では毎年多数の参拝者で賑わいます。
法輪寺の十三詣りでは、参拝後の帰り道にある法輪寺橋(現在の渡月橋)を
渡り終えるまでに後ろを振り返ると、授かった知恵を失うとされます。
writtn by はれる88