冬至(とうじ)

冬至(とうじ):12月22日頃
北半球では南中の高度が最も低くて、
1年で昼の長さが一番短く、夜の長さが一番長い時期です。
太陽の力が最も弱くなる頃です。
この後から徐々に日が長くなることから「一陽来復」とも称し、
冬至を境に運が向いてくると言われています。
古代には冬至が一年の始まりとされていました。冬
至に小豆粥や南瓜を食べたり、柚子風呂に入る習慣があるのも、
復活や再生に通ずる習わしです。
⑴乃東生(ないとうしょうず)
12月22日~26日頃
様々な草木が枯れ、葉を落とす冬の景色の中で、
他のものとは反対に緑の芽を出しているのが夏枯れ草(乃東)です。
乃東とはウツボグサを指しています。
夏至の候に「乃東枯」というのがありますが、これと対をなしています。
⑵麋角解(びかくげす)
11月27日~31日頃
「麋」とは大鹿のことです。
トナカイの仲間・またはヘラジカのことだとされています。
大きなツノがある大鹿はこの頃にツノが抜け落ちて生え変わります。
この時季は厳しい冬を越すため、
シカだけでなく多くの動植物が冬の装いへと変わります。
年越しの直前の期間で、私たち人間も新年を迎えるための準備が慌ただしく続きます。
⑶雪下出麦(せつかむぎをいだす)
1月1日~5日頃
新年が明けてお正月がやってきます。
雪のある地方ではまだ地面が一面雪に覆われているその下で、
麦が芽を出し始めます。
日本では小麦や大麦は秋蒔きが一般的です。
秋に芽生えた麦は、そのまま冬を越して5〜6月頃に収穫されます。
冷たい雪の下でも着々と春の準備が始まっています。
この季節の食べ物
ねぎ
ユリ科の多年草で11月から1月にかけて旬を迎えます。
鍋や薬味などに用いられる冬の名脇役です。
ねぎは奈良時代に中国から伝わり、
昔から身体に良い食べ物とされてきました。
疲労回復・風邪の予防・殺菌など様々な効果があります。
関東では白い部分を食べる根深ねぎ、
関西では青い部分を食べる九条ネギを好む傾向があります。
ヒラメ
高級魚で特に寒い時季に獲れる「寒びらめ」は絶品です。
「左ひらめに右かれい」と言い、面を向けたときに左を向いているのがひらめです。
ひらめと呼ばれることが多いですが、
北海道では「テックイ」
山口県では「ヒダリグチ」
徳島県では「ホンガレイ」と呼ばれています。
諸説ありますが、平たい魚(め)が語源とされ「ひらめ」というい名前がつきました。
そのためこの魚の平らな姿に由来し、漢字も魚へんに平で「鮃」と書きます。
ほうれん草
緑黄色野菜の代表格とされており、
鉄分が豊富な野菜でその含有量は牛レバーと同等と言われています。
他にもカロテン、ビタミンC、カルシウム、
クロロフィルを多く含んでいます。
食物繊維もやわらかく、良質です。
西洋種と在来種があり、日本で普及しているのはこれらを交配させたものです。
かぼちゃ
冬至には「ん」のつくものを食べると運気が上昇すると言われています。
かぼちゃは南瓜(なんきん)と読みます。
本来は夏が旬ですが、かぼちゃは長期の保存がきくため、
冬の栄養摂取にもおすすめです。
保存する場合は、種やわたを取り除いた方が鮮度を保てます。
カロテンを豊富に含み、ビタミンB1、B2、Cに富んでいます。
ふぐ
食用とするのは、主にトラフグやマフグです。
下関や北九州では「福」にかけて「フク」とも呼びます。
大阪ではふぐの毒に当たると死ぬということから「テッポウ」と呼ばれてきました。
ふぐの刺身は「テッポウ」と「刺身」が合わさって、「テッサ」と呼ばれています。
わかさぎ
「白く清楚」という意味をもつ魚です。
本来は河川の下流域や汽水域に見られるものでしたが、
淡水域でも生きられるために日本各地の湖沼やダム湖などで養殖されています。
主な産地は北海道、茨城県、滋賀県などで、
非常に食べやすく美味であり、人気があります。
厚い氷に穴を開けて釣り糸を垂らす、
ワカサギ釣りが有名で、南蛮漬けや天ぷらなどでよく食べられています。
この季節の草花
福寿草
江戸時代から盆栽として正月にこの花を飾る風習があります。
「元日草」とも呼ばれ、「福を招く」というおめでたい名前から、
園芸店のみならず年の瀬になると夜店などでもの苗が売られています。
本州より北の山野に自生し、早春に黄色い花を咲かせます。
ジャノメエリカ
南アフリカ共和国原産のエリカです。
名前は、花の中心にある黒点が蛇の目に見えることからつけられました。
早くから蕾ができ、1月から4月頃まで開花を楽しめます。
昔から燃料に使ったり、染料にしたり、蜜をとったりと、
人々の生活には欠かせない植物です。
エラチオールベゴニア
ベゴニア・ソコトラナと球根ベゴニアとの交配によって作り出された品種です。
真夏を除きほぼ1年中出回っていますが、寒々とした冬の室内を鮮やかな
花色で華やかにしてくれるため「冬の鉢花」のイメージがつきました。
花は小型ですが、白・ピンク・赤などの種類が豊富で、
かつたくさんの花がつき鮮やかに空間を彩ってくれます。
この季節の生き物
コゲラ
スズメほどの大きさで全長15cmほどの、
日本では最も小型のキツツキ類です。
灰褐色と白の縞模様の羽が目を惹きます。
ギーギーと鳴き、くちばしで突っついて虫を捕ったり、
巣穴に穴を開けたりするほか、その音で縄張りを示したり、
メスを呼ぶ・求愛するときにくちばしで木を叩きます。
コゲラは一秒に20回以上もくちばしを素早く木に打ち付け、
その音を響かせます。
福良雀(ふくらすずめ)
冬の寒い時期、
雀が縮こまって羽をまん丸く膨らませている姿を福良雀と呼びます。
寒さをしのぐための姿ですが、
文字が表すように「福」を呼ぶ縁起物として、
イラストや飾り物に使われていきました。
また、元旦の朝の雀やそのさえずりを初雀と言います。
オナガ
真っ黒の頭と、水色の美しい羽、
すらっと伸びたまっすぐな尾が特徴的な鳥です。
警戒心が強い時はしゃがれた声で「ギューイ」と鳴き、
つがい同士の安心した仲では「チューイ」「ピューイ」と綺麗な声で鳴きます。
オナガのように、冷たい北風が吹きすさぶ寒い日に、
かじかんだようにじっとしている鳥の様子を「かじけ鳥」と言います。
この季節の行事やオススメ
柚子湯
「冬至湯」とも言い、
お風呂に柚子を浮かべて入る風習です。
肌によく、ヒビやあかぎれにもよく聞きます。
また身体を温める効果があり、風邪の予防にもなり、いい香りのお風呂に癒されます。
この習慣は当時と湯治の語呂合わせからとも言われますが、
かつては一年の始まりだった冬至に柚子の香りと薬効で身体を清める禊の意味があったとされています。
クリスマス
12月25日
イエス・キリストの降誕を祝うお祭りです。
元は、キリスト教以前の冬至のお祭りとされていました。
太陽の復活という意味がある冬至のお祭りと合体したものという説もあります。
日本で初めてクリスマスをお祝いしたのは、
明治の初めの頃、銀座の女学校でだったと言われています。
その後、ホームパーティーをしたり、クリスマスツリーを飾ったり、
プレゼント交換をする風習が徐々に広まっていきました。
日本ではクリスマスの前と後では空気ががらりと変わり、
一つの大きな節目となっています。
キラキラと輝く夜空の星や、サンタクロース、
美しい飾り物や美味しいお料理、華やかなものに囲まれて、
せわしない年末を迎える前の楽しいひと時を迎えましょう。
除夜の鐘
12月31日
各地の寺では大晦日から新年にかけて鐘をつきます。
鐘をつく回数は108回で、人間の煩悩の数と同様とされており、
除夜の鐘はこれを除去するためと言われています。
107回は旧年中につき、108回目は新年につくとされています。
お坊さんがつく場合もありますが、
多くの寺院では一般の参詣者も鐘をつくことができます。
また108回以上つく場合もあります。
寒さの中で振舞われる甘酒の美味しさは、心と身体が温まります。
初詣
1月1日から
平安時代からある風習では家長は家族の幸福を願い、
大晦日から元旦にかけて氏神の社にこもりました。
これを「年ごもり」といい、新しい年の方策や安全を夜通し祈願していました。
年ごもりが初詣の元になったと言われています。
現在では、お正月の三が日や松の内(7日や15日頃まで)に
初詣をする場合が多く、「旧年無事に過ごせた感謝」「
新年がいい年になるように」ということを伝えるために参拝します。
よく新年の抱負やお願い事を優先してしまう人も多いですが、
日頃の感謝の気持ちも忘れず伝えるようにしましょう。
初夢
正月に見る夢のことです。
夢の内容でその年の運勢を占う夢占いのことです。
初夢の日付には諸説あり、次の3つのパターンがあります。
「大晦日から元旦」「元旦から2日」「2日から3日」。
そして一般的に良いとされている夢の内容は「一富士、二鷹、三茄子」です。
また、あまり知られてはいませんが、
これに続くものとして「四扇、五煙草、六座頭」という言葉があります。
座頭とは、琵琶法師の座に所属する剃髪した盲人のことです。
初夢にどんな夢を見たかという話題で盛り上がるのは、
現在も昔も共通だったということは感慨深いですね。
七福神巡り
お正月の期間は、色々な地域で七福神巡りができます。
七福神のそれぞれが祀られている七つの神社を巡って、
それぞれの神様の小さな人形やお札を集めることができます。
そうすることで「七難即滅、七福即生極まりなし」と言われ、
功徳が大きいとされています。
恵比寿・大黒は商売繁盛の神様
弁天は知恵と音楽の神様
毘沙門天はインド仏教の守護神
布袋は中国の八徳を持った太子様で大きなお腹と笑顔が人気
福禄寿は南極星が神様に化身したもの
寿老人は長寿の神様で杖を持っている
と、されています。
大護符という色紙を購入し、
御宝印と呼ばれる御朱印を揃えることで、
7つのご利益に恵まれた一年が過ごせることでしょう。
written by はれる88