霜降(そうこう)

霜降(そうこう):10月23日頃
朝夕の気温がぐっと冷え込み、
露が陰気に結ばれて霜になり降ってくる季節です。
霜は山の方から徐々に降り始め、
12月頃になると平野部にもやってきます。
また、山野の葉が鮮やかに色づき様々な秋の味覚を楽しめる時期でもあります。
⑴霜始降(しもはじめてふる)
10月23日~27日頃
北の地方から順に朝晩の冷え込みが増し、霜が初めて降りる頃。
草木を美しく覆う半透明の氷の結晶はとても神秘的です。
花に例えて「霜の花」とも呼ばれます。
美しい霜ですが、農作物には大敵となります。
この頃は足元から冷えやすいので、足元を温めるように心がけましょう。
⑵霎時施(しぐれときどきほどこす)
10月28日~11月1日頃
晩秋から初冬にかけて、不意に強い雨が降りかかります。
長時間に渡って降る雨とは異なり、
降り出したかと思うとすぐに止んで雲間から青空がのぞきます。
一雨ごとに徐々い寒さが増し、山の動物たちも冬支度を始めます。
⑶楓蔦黄(ふうかつきなり)
11月2日~6日頃
「楓」とはモミジのこと、「蔦」とはツタのこと。
モミジやツタが色づく頃です。
葉が赤く色づくことを「紅葉」と呼び、
イチョウのように黄色く色づくことを「黄葉」とも呼びます。
この季節の食べ物
牡蠣
真牡蠣は産卵で栄養分を一気に使うため、
産卵後は味が落ちてしまいます。
そのため産卵前に当たる10月から3月頃が旬です。
牡蠣の漁獲量がもっとも多いのは広島県で、
国内シェアの約6割を占めます。
カルシウムなどのミネラルを多く含むため「海のミルク」とも呼ばれます。
日本では食用やフライ、酢の物などで食されます。
中華料理の調味料でよく知られる「オイスターソース」も
牡蠣から抽出したエキスが使われています。
柿
日本原産の果物で、ヨーロッパでは「KAKI」という名前で通用します。
渋み成分であるタンニンには、アルコールを排出し、肌を引き締める効果があります。
また利尿作用のあるカリウムも豊富に含まれているので、
二日酔いの朝に柿を食べると良いとも言われます。
山芋
10月末から2月にかけて旬を迎えます。
昔から「山のうなぎ」と呼ばれてきた通り、ジアスターゼという消化酵素や食物繊維、
またぬめり成分などの胃腸に優しい栄養成分を多く含む食材です。
山芋は生で食べられる世界でも珍しい芋です。
一口に山芋といっても、日本原産の自然薯や大和芋、長芋など600種類を超える品種があります。
ほっけ
居酒屋の焼き魚メニューとしておなじみの魚です。
塩気が効いて、ふっくらとした身は白ご飯にとてもよく合います。
特に干物は風味が増す上に、長時間の保存が可能です。
旬は春と秋の2回ですが、それぞれ味わいが大きく異なります。
春は脂がたっぷりと乗っており、塩焼きや干物として食べられます。
秋はすり身をほっけ団子の汁や鍋などに入れて召し上がります。
新蕎麦
新蕎麦とは、秋に刈り取った蕎麦の粉で打った生蕎麦(きそば)のことで、
別名「走り蕎麦」とも言います。
新蕎麦には「夏新」と「秋新」があり、秋新の方が味や香りが断然優れているため、
こちらだけが新蕎麦としてもてはやされてきました。
収穫時期は産地によって異なりますが、大体は11月中旬までとされています。
秋に穫れた新蕎麦を保存しておいて、翌年の大寒の頃(1月20日頃)から2週間ほど清流に浸し、
その後日光と寒風にさらして乾燥させたものを「寒晒し蕎麦」と言います。
一般的な蕎麦と比べ、甘味のあるまろやかな味わいです。
この季節の草花
モミジ
紅葉といえば楓ですが、
すぐにイメージしやすいのは開いた手のひらのような形をしたイロハモミジ。
様々な木々が色づく様子を、桜紅葉・柿紅葉と呼びます。紅葉の語源は、
草木が赤や黄色に染まることを「紅葉つ(もみつ)」「黄葉つ(もみつ)」といい、
その葉を「もみち」と読んだことからとされてます。
サルビア
ブラジル原産のシソ科の多年草です。
熱帯から亜熱帯で育つため、日本では冬を越せずに枯れてしまいます。
サルビアはセージとも呼ばれており、その種類は900種以上に及び、
ハーブや観賞用としても人気が高いです。
紫式部
秋が次第に深まり、実が熟して鮮やかな紫色に染まります。
『源氏物語』の著者である紫式部に例えてこの名前がつきました。
やわらかな緑の葉の付け根に、丸々とした小さな実が可愛らしく、
色の対比がとても美しいです。
紫式部という名前ですが、白い実がなる式部もあり、
そちらは「白式部」と呼びます。
いづれも園芸用の植物としても人気が高いです。
萩
『万葉集』でもっとも多く詠まれている植物で、
秋の七草の一つに数えられています。
七草に分類されていますが実際には草ではなく落葉低木です。
日本には20種類程度が自生しており、
公園などでも多く見られ、萩のトンネルが見られる庭園もあります。
フジバカマ
秋の七草の一つで、万葉の時代から人々に親しまれてきました。
奈良時代に中国から伝わり、かつては薬草として伝わりましたが、
日本で野生化した帰化植物だと考えられてます。
フジバカマの葉には桜餅を思わせるような芳香があります。
乾燥させると更に強さが増し、かつては匂い袋の中身として使われたり、
着物に忍ばせて香りを身に纏って使われていました。
夏の終わりから秋の初めに房状の花を多数咲かせます。
この季節の生き物
ヒヨドリ
全長約27.5cm、青みがかった灰色の体と、目の後ろの斑点が特徴です。
ヒーヨ、ヒーヨと鳴く声からヒヨドリという名前がついたそうです。
木の実やヤブツバキなどの花の蜜、果実が大好物です。
人里でもよく見かけられる野鳥で、
庭先にみかんやりんごなどの果実を置いておくと食べにやってくることもあります。
日本各地の平野に分布しますが、冬になると暖かい場所へ移動します。
平安時代に貴族の間では、飼い主をきちんと見分けるのでよくこの鳥が飼われていたそうです。
ミノムシ
ミノムシはミノガという蛾の幼虫です。
口から出した糸で枝や葉を筒状に整えて巣(ミノ)を作ります。
オスは羽化しますが、メスには羽がなく巣の中で一生を終えます。
種類によって、作るミノの形は様々で個性が溢れます。
ムクドリ
全長約24cm、全身が黒味のある褐色をし、
鮮やかな黄色いくちばしが特徴です。
程産地や人の家にも巣を作ります。
餌は昆虫や果実で、むくの木の実を好むことからこの名前がつきました。
「リャー、リャー」「キュリリ」と鳴きます。
この季節の行事やオススメ
戦場ヶ原のススキ
栃木県奥日光を代表する湿原地帯である戦場ヶ原は、
10月に入るとススキが見頃になります。
どこまでも続くススキ野原の黄金の穂が風になびき、
美しい様子を見ることができます。
湿原の草紅葉と入れ替わるようにして輝き始める黄金のススキ野原は圧巻です。
曽爾(そに)高原のススキ
奈良県と三重県の県境に位置する約40ヘクタールの
曽爾高原には秋になると一面にススキが広がります。
昼間は眩しい太陽の光を受け、金色の波となってうねり、
夜にはお亀池周辺に飾られた灯篭が、
秋の夜のススキを黄金に照らします。
虫干し
虫干しとはからりと乾いた秋晴れの日に、
着物や衣服、書物などに虫やカビがつくことを防ぐために風通しを良くして、
日に当てることを言います。
虫干しは歴史が古く、元々は平安時代に宮中行事の一つとして行われていました。
現在では虫干しを兼ねて、
普段見られないような本尊や秘仏などの特別拝観をするところが多くなっています。
秋の土用
10月20日頃〜11月6日頃
雑節の一つで、立冬(11月7日頃)前のおおよそ18日間のことを示します。
土用とは季節の変わり目にあたる暦で、暦の上では秋から冬に移り変わる時期です。
土用の期間には種まきや畑仕事、葬送や建築など、
穴を掘ったり土を触ったりする仕事を禁じるしきたりがあります。
秋の土用には「辰の日」に玉ねぎやタコなど「た」のつくもの、
または秋刀魚や鯖などの青いものを食べるといいとされています。
宇和津彦神社祭り
10月28日・29日
愛媛県の宇和島で行われる、宇和津彦神社(通称:一宮さま)のお祭りです。
宇和津彦神社は初代宇和島藩主・伊達秀宗による城下の造成で、
藩の一の宮と定められた由緒ある神社です。
330年余りの伝統を持つこの祭礼では豪華なお神輿や、
牛鬼や八つ鹿踊りなどが市内を練り歩き、神様への感謝が表されます。
鹿の面をつけて太鼓を打ちながら歌い踊る「八つ鹿踊り」が特に有名で、
宇和島市の無形民俗文化財に指定されています。
ハロウィーン
10月31日
カトリックの諸聖人の日の前日にあたる10月31日の晩に、
主に英語圏で行われる伝統行事です。元々は古代ケルトの祭事で、
収穫の時期に行われていました。
かぼちゃをくり抜いて中にろうそくを立てて作る
ジャックオーランタンがシンボルとして飾られます。
子供達は魔女やお化けに仮装して
「Trick or treat(お菓子をくれないとイタズラするぞ)」と
言いながら近所の家を周り、パーティーを開きます。
近年では日本でもハロウィーンを楽しむ人も増えてきました。
弥五郎どん祭り
11月3日
鹿児島県曽於市大隅町の岩川八幡神社で900年続くお祭りです。
「弥五郎どん」は、身長4メートル85センチ、25反もの梅染めの衣を身にまとい、
太い眉、刀を2本腰にさした勇ましい姿をしています。
午前1時になると「弥五郎どんが起きっどー」のかけ声と
ふれ太鼓で祭りの始まりが告げられます。
弥五郎どんゆかりのものに触れると無病息災とされ、
約3時間市街地を威風堂々練り歩きます。
酉の市(とりのいち)
11月の酉の日
日本各地の鷲(おおとり)神社の祭礼で、
元々は武道守護の神として武士の信仰を集めていました。
次第に商売繁盛や開運の神として庶民の人気が高まりました。
幸運や福をかきこむ、かき集める力のある熊手が売られ、
おたふくのお面や八つ頭、切り山椒、打ち出の小槌などの
縁起物を売る店が並んでいます。早くも年末を思わせる行事です。
written by はれる88